世界一有名な裏切り者は、ユダだろう。*1
しかし、どうして「裏切り」が起こるのだろうか。
日本でも有名な裏切り者としては、本能寺の変を起こした明智光秀が挙げられる。
しかしあの当時は下剋上の考えが今に比べれば一般的であり、元々一方的に馬鹿にされ続けていた明智光秀が怒りを露わにしただけなので、今の感覚だけで彼らを見た場合、罰せられるのはパワハラ行為を繰り返した織田信長ではないかと思う。
そう、当時の感覚で見ても彼だけを突出させて裏切り者扱いするのは理不尽だし、今の感覚で見ても彼は被害者だろうと言われるので、正直「裏切り」はどの時代にも起きていないのではないかと、私自身は思っている。
私は裏切られたくないと考え、まずは何故裏切り行為が起こるのかを考えた。
織田信長や、織田信長を慕う者にとっては、謀反を起こした明智光秀は裏切り者だ。
しかし、織田信長を少しでも煙たく思っていたなら、明智光秀を単なる裏切り者として憎む事はしないだろう。
むしろ明智光秀を討ち取る事で、謀反人を討ち取った正義の味方と評価され、より人望を集める好機と捉える人がいてもおかしくない。
これだけでも何となく分かるが、裏切りと呼ばれる行為の多くは、誰を中心に置くかで印象が大きく変わるものばかりである。
フランス革命もそう。
貧しさと飢え、そして冷えの中で苦しみ続けた民衆の多くは、王族や貴族をまるで大魔王かのように捉えていたかもしれない。
少なくとも革命活動を積極的にやっていた人達は、民衆がそう思うように自分達の意見を主張し続けていた。
民衆にとっての裏切り者は、ルイ16世とアントワネットだろう。
ルイ15世までの酷い政治が少しでも変わる事を、民衆が期待したから。
でもルイ16世やアントワネットの立場からすれば、民衆が裏切ったとしか思えない。
自分達が出す指示についてきてくれる事を、民衆に期待したから。
結局は、相手の実際の都合や事情を考えもせず、一方的な「期待」という重圧をかけた事が、裏切りの原因なのではないか。
勿論それが全てとは限らないが、「予想」にせよ「信頼」にせよ、「○○を裏切られる」と付けたくなるような言葉は皆、どちらかが一方的に相手に押し付けたものばかり。
裏切り行為はそれだけで悪とされてしまうものだが、そもそも裏切りたくなる程の圧をかけるせいではないか。
私は相手に期待しない。
信じる事はあっても、その選択をしたのは自分である事を何よりも重視する。
そうすれば、相手が多少失敗をしても怒る気にはならないし、裏切られたと感じる事もない。
たとえこちらが相手の悪意によって騙されたとしても、相手を信じるという決断を下した自分の責任を捨て去る事は出来ない。
詐欺のカモだと言われたとしても、それはそれで事実だろうと思う。
ただし。
自分自身にも期待や信頼を含む圧をかけないので、詐欺師の言葉にそのまま乗るかどうかは分からない。
天気予報が外れて苛立つのは、他人の予想に期待するからだ。
星座占いくらいにはバラバラな天気予報を、何故盲目的に信じる？
Aさんが晴れと言う一方で、Bさんは雨と言う。
でもどちらも確実に正しいなどという事は証明しようがない。
どうして証拠らしい証拠すら何もないのに、天気予報を盲目的に信じられる？
信じるのはまぁ構わんが、信じる選択をした自分自身がそもそも間違っていたという事実から目を背けてはいけないよ。
外れる可能性もあるのなら、晴れだろうが雨だろうが対応出来るように動くのが当たり前。
それを怠った時点で、自己責任だ。
気象予報士はあくまで気象予報士という職業につく人に過ぎず、気象操作までは出来ない仕事なのだから、確実だと思いこむ方が失礼なのさ。
天気予報なんて星占いと同じ。
当たったらラッキーくらいに思ったらいい。
どうせ、同じ市内でも晴れるか積雪するかの違いが生じるのだ。
自分の頭上の天気がどうだったとしても、それは自分の頭上の問題でしかないので、自分の頭上をピンポイントで予想する訳ではない気象予報士に八つ当たりしてはいけない。
裏切られたと感じる事が多いなら、それだけ自分が周囲に頼りすぎているという事だ。
ちっとは自分の行いを見直した方がいいかもしれん。
ここで私を攻撃するコメントが殺到したとしても、賞賛するコメントが殺到したとしても、裏切られたとは思わない。
私はこう考えた、というだけの事なのでね。
これを読んで誰がどう考えるかまでは、私は関与する気はないよ。
むしろこれを賞賛するコメントだらけになるような世界だったら、殺風景になってつまらないだろうね。
裏切りを裏切りと思える人が一定数いないと、世界は面白くならないよ。
*1:決して日本一とは言えない存在だが、キリスト教を国教とする国においては非常に有名。新約聖書に登場するイスカリオテのユダだ。でももっと酷い事をした気がするペトロは聖人。何故だ。
